「1歳になったけれど、まだ言葉が出ない」「周りの子は話し始めているのに、うちの子は大丈夫かな?」と気になることはありませんか?
1歳は、少しずつ言葉の理解が進み、自分の気持ちや要求を伝える方法が広がっていく時期です。
しかし、言葉が出始める時期や増え方には個人差があります。
この記事では、言語聴覚士の視点から、1歳の言葉の発達の目安や、家庭でできる関わり方、相談を考えたいサインについてわかりやすく紹介します。
1歳の子どもはいつから言葉を話す?
子どもが意味のある言葉を話し始める時期には幅があります。
1歳前後に「ママ」「ワンワン」などの言葉が出始める子もいれば、もう少し時間がかかる子もいます。
また、言葉としてはっきり発音できなくても、いつも同じ音を特定のものや人に対して使っていれば、意味のある言葉として捉えられることがあります。
大切なのは、話せる言葉の数だけでなく、言葉の理解や指差し、身振りなど、コミュニケーション全体の様子を見ることです。
1歳前半(1歳〜1歳5か月頃)の言葉の発達
1歳前半は、身近な人の声かけを理解したり、指差しや身振りで気持ちを伝えたりする姿が増えてくる時期です。
この時期に見られることがある姿
- 「ママ」「ワンワン」など、意味のある言葉が出始める
- 「ちょうだい」「おいで」など、身近な声かけが伝わる
- 欲しいものを指差したり、手を伸ばしたりする
- 大人の動作や言葉をまねしようとする
- 好きなものを見つけると、声や表情で知らせる
これらはあくまで発達の一例であり、すべてが同じ時期にできる必要はありません。
1歳後半(1歳6か月〜1歳11か月頃)の言葉の発達
1歳後半になると、理解できる言葉が増えたり、身近なものの名前を言ったりする子が増えてきます。
この時期に見られることがある姿
- 身近なものや人の名前を言う
- 言える言葉が少しずつ増える
- 「くつ持ってきて」など、簡単な声かけを理解する
- 絵本の中の知っているものを指差す
- 言葉と身振りを組み合わせて気持ちを伝える
1歳6か月児健診でも、言葉の発達やコミュニケーションの様子が確認されます。
言葉が少ないことだけで判断するのではなく、理解や指差し、聞こえなども含めて確認することが大切です。
言葉を話す前にも大切なコミュニケーションがある
子どもの言葉の発達を考えるとき、話せる言葉の数に注目しがちですが、言葉以外のやり取りも大切です。
指差しや身振り
欲しいものを指差したり、バイバイと手を振ったりすることも、自分の気持ちを相手に伝える方法です。
大人との気持ちの共有
面白いものを見つけて大人の顔を見たり、同じものを一緒に見て喜んだりすることも、コミュニケーションの発達に関わっています。
言葉がまだ少なくても、こうしたやり取りを楽しめているか、日頃の様子に目を向けてみましょう。
1歳の言葉を育むために家庭でできる5つの関わり方
① 子どもが見ているものを言葉にする
子どもが犬を見ていたら「ワンワンだね」、車を指差したら「ブーブー、走っているね」と、興味を持っているものに言葉を添えてみましょう。
② 短くわかりやすい言葉で話しかける
「お水飲もうね」「くつ、はこうね」など、生活の場面に合わせて短い言葉を使うと、言葉と動作を結びつけやすくなります。
③ 子どもの声や身振りに応える
子どもが「ん!」と指差したら、「あ、ボールが欲しいんだね」と気持ちを受け止めて返してみましょう。言葉で答えられなくても、やり取りは成立しています。
④ 絵本や手遊びを一緒に楽しむ
繰り返しのある絵本や手遊びは、言葉の音やリズムを楽しむきっかけになります。最後まで読もうとせず、子どもが興味を示したページを一緒に見るだけでも大丈夫です。
⑤ 言葉を無理に言わせない
「言ってみて」「これは何?」と繰り返し答えを求めるよりも、大人が自然に言葉を添えながら、子どもの反応を待つことを大切にしましょう。
1歳で言葉が出ないときは相談した方がいい?
1歳で言葉が少ないからといって、必ずしも発達に問題があるわけではありません。
ただし、言葉以外のコミュニケーションや聞こえの様子も含めて考えることが大切です。
例えば、次のような様子が気になる場合は、健診を待たずに相談してもよいでしょう。
- 大きな音や呼びかけへの反応が乏しい
- 視線や指差しなどで気持ちを共有する様子が少ない
- 身近な声かけが伝わりにくい
- 以前できていた発声や身振りなどが見られなくなった
- 保護者が発達について強い心配を感じている
相談先としては、地域の保健センター、小児科、必要に応じて耳鼻咽喉科などがあります。
1歳6か月児健診も、発達について相談できる機会のひとつです。
早めに相談することは、必ずしも何らかの診断につながるという意味ではありません。
今の発達の様子を確認し、家庭での関わり方について助言を受けるきっかけにもなります。
よくある質問
Q. 1歳で「ママ」と言わなくても大丈夫?
言葉が出始める時期には個人差があります。「ママ」と言わないことだけで判断せず、ほかの言葉や身振り、理解の様子も含めて見ていきましょう。
心配がある場合は相談して大丈夫です。
Q. テレビや動画を見せると言葉が増える?
動画を見るだけで言葉が増えるとは限りません。
特に小さな子どもには、身近な大人との直接的なやり取りが大切です。
動画を利用する場合も、一緒に見ながら声をかけるなど、親子のコミュニケーションにつなげましょう。
まとめ|言葉の数だけでなく、やり取りを大切に
1歳は、言葉の理解や表現、指差しや身振りなど、コミュニケーションが少しずつ広がっていく時期です。
話し始める時期には個人差があるため、周りの子と比べすぎず、お子さん自身の変化に目を向けてみましょう。
毎日の生活の中で、子どもの興味や気持ちに寄り添いながら、親子で楽しくやり取りを重ねていけるといいですね。