「お友達におもちゃを貸せない」。
「順番を待てず、取り合いになってしまう」。
「周りの子は一緒に遊んでいるのに、うちの子は一人で遊んでいる」。
3歳ごろの子どもの様子を見て、そんなふうに心配になることはありませんか。
お友達と遊ぶ機会が増えると、楽しい経験だけでなく、思いどおりにならない場面も増えてきます。
まだ相手の気持ちを理解したり、自分の気持ちを言葉で伝えたりすることが難しい子もいます。
この記事では、3歳児のお友達との関わりの目安や、貸し借り・順番待ち・取り合いの場面で家庭ができる工夫を紹介します。
3歳になったからといって、すぐにお友達と上手に遊べるようになるわけではありません。
「貸したくない」「まだ使いたい」という気持ちも、子どもにとって大切なものです。
気持ちを尊重することと、相手の物を取ったり傷つけたりする行動を止めることは、両立できます。
3歳児はお友達と一緒に遊べるようになる?
友達への興味が少しずつ広がる時期
3歳ごろになると、お友達の遊びを見たり、同じ遊びをしてみたがったりする姿が見られます。
一緒に笑ったり、まねをしたりする一方で、同じおもちゃを使いたくなって取り合いになることもあります。
遊びながら相手の存在に気づき、さまざまな気持ちを経験していく時期です。
一人遊びが好きな子もいる
お友達のそばでそれぞれ別の遊びを楽しむ子もいれば、一人でじっくり遊ぶことを好む子もいます。
集団遊びに入らないことだけで、友達関係に問題があるとは限りません。
一人で集中して遊ぶ時間も大切にしながら、お友達と関わるきっかけがあるかを見ていきましょう。
遊び方や発達のペースには個人差があります。
「貸して」「順番」は経験を重ねながら覚えていく
3歳ごろは、待てば使えることや、順番に使うことを少しずつ理解していく子もいます。
ただし、分かっていても、欲しい気持ちが強いときには待てないことがあります。
そのようなときは、大人が気持ちを言葉にしたり、順番の見通しを一緒に考えたりすることが助けになります。
おもちゃを貸せないときはどうする?
「まだ使いたい」気持ちを認める
お友達から「貸して」と言われても、まだ使っているおもちゃを手放したくないことがあります。
そんなときに、すぐ「貸してあげなさい」と言うと、子どもは自分の気持ちを分かってもらえないと感じるかもしれません。
まずは「まだ遊びたかったんだね」と気持ちを受け止めてみましょう。
そのうえで、相手も使いたがっていることを短い言葉で伝えていきます。
貸すことだけを正解にしない
「かして」と言われたら、いつでも貸さなければいけないわけではありません。
「まだ使っているよ」「終わったら貸すね」など、今の気持ちを伝える方法もあります。
ただし、園や遊び場でみんなが使う物には、その場所の決まりがあることも伝えていきたいですね。
相手の気持ちも大切にしながら、両方が納得できる方法を探してみましょう。
大人が言葉を手伝ってもいい
気持ちはあっても、まだうまく言葉にできない子もいます。
そのようなときは、大人が「まだ使いたいんだって」「終わったら教えるね」などと代わりに伝えても構いません。
すぐに自分で言わせようとせず、言葉のやり取りを聞く経験を重ねていきましょう。
毎日の声かけについては、「2歳・3歳の声かけのコツ7つ|言葉を育む親子の関わり方」も参考にしてみてください。
- 「まだ使いたかったんだね」
- 「お友達も使いたいみたいだよ」
- 「終わったら貸すって伝えようか」
- 「待つのが難しいなら、別のおもちゃを見てみる?」
- 「どちらも遊びたいんだね。一緒に考えよう」
すべての場面で同じ声かけが合うとは限りません。
子どもの気持ちや、その場の状況に合わせて使ってみてください。
順番を待てないときの対応
待つ時間を分かりやすく伝える
「順番だから待ってね」と言われても、いつ自分の番になるか分からないと、待つことが難しい場合があります。
「お友達が1回滑ったら交代しよう」「この遊びが終わったら次だよ」など、具体的な目安を伝えてみましょう。
実際に交代できるタイミングは、遊びの内容やその場の決まりに合わせて大人が調整します。
待っている間の選択肢を用意する
待つことだけに意識が向くと、子どもにとって時間が長く感じられることがあります。
「ここで見ている?」「別のおもちゃで遊びながら待つ?」と選べるようにするのも方法のひとつです。
選ぶこと自体が難しいときは、大人がそばで一緒に待っても構いません。
短い順番遊びから経験を重ねる
家庭でも、ボールを交互に転がしたり、積み木を1個ずつ置いたりする遊びができます。
「ママの番」「次はあなたの番」と短く伝えながら、少しずつ順番を経験してみましょう。
できたかどうかを試すより、親子で楽しめることを大切にしてください。
- ボールを交互に転がす
- 積み木を1個ずつ積む
- ぬいぐるみを交互に抱っこする
- 絵本のページを交代でめくる
- おままごとで店員役とお客さん役を交代する
一度に長く遊ぶ必要はありません。
少しだけ交代できたら、その経験を一緒に喜びましょう。
言葉で伝えにくいときは絵カードもひとつの方法
「貸して」「まだ使っている」「あとでね」といった言葉は、子どもにとって使い分けが難しいこともあります。
落ち着いているときに親子でやり取りを練習したり、絵を指さして気持ちを表したりする方法もあります。
ただし、気持ちが高ぶっているときに無理に言わせる必要はありません。
「かして」「まだつかってる」「あとで」「いっしょに」などの気持ちを、絵で確かめられる印刷用教材です。
順番を見通す「いま・つぎ」のボードや、親子で楽しめるミニ絵本も収録しています。
「貸してと言われたら必ず貸す」のではなく、自分の気持ちも相手の気持ちも大切にしながら、やり取りを経験するための教材です。
落ち着いている時間に、親子でカードを選んだり、ごっこ遊びに取り入れたりしてみてください。
カードを切る作業は大人が行い、小さな部品の誤飲や紙でのけがに気をつけて使用しましょう。
友達関係や言葉の発達の改善を保証する教材ではありません。
noteの有料PDF教材/購入前に内容と価格をご確認ください
おもちゃを取り合いになったときは?
まずは双方の気持ちを受け止める
おもちゃの取り合いになったときは、どちらか一方だけを叱る前に、何が起きたのか確認してみましょう。
「これで遊びたかったんだね」「まだ使っていたんだね」と、双方の気持ちを短い言葉で伝えます。
大人が間に入ることで、落ち着いて話を聞ける場合もあります。
人の物を取る・叩く行動は止める
「使いたかった」という気持ちは受け止めながらも、相手の手から無理に奪うことや、叩くことは止める必要があります。
「使いたかったんだね。でも取るのはやめよう」と、気持ちと行動を分けて伝えましょう。
けがの危険があるときは、まず子ども同士を安全な距離に離します。
落ち着いてから、相手にどう伝えるかを一緒に考えていきましょう。
気持ちが高ぶったときの対応については、「2歳児のイヤイヤ期はいつまで?癇癪の原因と家庭でできる対応」でも紹介しています。
無理に謝らせることを目標にしない
子どもが興奮しているときに「ごめんなさいは?」と繰り返しても、気持ちが追いつかないことがあります。
まず相手の安全や気持ちに配慮し、大人が必要な対応をしましょう。
落ち着いてから、相手がどんな気持ちだったのか、次はどうすればよいかを短い言葉で伝えていきます。
謝る言葉だけでなく、相手を気遣う行動を少しずつ経験できるとよいですね。
叩く、噛む、硬い物を投げるなどの行動がある場合は、安全の確保を最優先にしましょう。
危険な行動が繰り返される場合や、本人・周囲が強く困っている場合は、園やかかりつけの小児科などにも相談してください。
絵本を通して「貸す」「どうぞ」を楽しむ
お友達とのトラブルが起きている最中は、絵本の内容が心に届きにくいこともあります。
落ち着いた時間に、親子で物語を楽しみながら「こんな気持ちだったのかな」と話すのもひとつの方法です。
絵本を読めば必ず貸し借りが上手になる、というものではありません。
「貸したくない気持ち」と「どうぞという気持ち」の両方に触れられる2冊を紹介します。
『そらまめくんのベッド』|貸したくない気持ちに寄り添う
そらまめくんが、自分の大切なベッドをお友達に貸したくないと感じるところから始まるお話です。
自分の物を大切にしたい気持ちや、お友達との関わりについて、親子で考えるきっかけになります。
読み聞かせでは「貸してあげないとだめ」と教え込むのではなく、物語そのものを楽しんでくださいね。
※価格・新品在庫・販売条件は購入先でご確認ください。
『どうぞのいす』|思いやりのあるやり取りを楽しむ
うさぎさんが作った「どうぞのいす」をきっかけに、動物たちのやり取りが広がる絵本です。
「どうぞ」という言葉や、誰かを思う気持ちに触れられる物語です。
親子で読みながら、登場する動物たちの様子を一緒に楽しんでみてください。
「どうぞ」と言うことを強制するためではなく、やり取りを楽しむ絵本として紹介しています。
※対象年齢・価格・新品在庫などは購入先でご確認ください。
お友達と遊ばず、一人遊びばかりでも大丈夫?
一人遊びが好きなこと自体は問題とは限らない
3歳ごろでも、一人でじっくり遊ぶ時間を好む子がいます。
お友達のそばにいても、自分の好きな遊びに集中している場合もあります。
一人遊びが多いことだけで、友達関係や発達に問題があると判断することはできません。
本人が安心して遊べているか、周りへの興味があるかなど、さまざまな様子を見ていきましょう。
無理に輪の中へ入れなくてもいい
大勢で遊ぶことが苦手な子もいます。
まずは大人と一緒に遊んだり、お友達が遊ぶ様子を見たりするところから始めてみましょう。
子どもが興味を示したら、短い時間だけ一緒に遊べるように大人が橋渡しする方法もあります。
「みんなと遊びなさい」と急がせず、その子のペースを大切にしていきたいですね。
お友達と一緒にできる簡単な遊び
最初から複雑なルールのある遊びに参加する必要はありません。
ボールを転がし合う、同じ色の積み木を並べる、おままごとで食べ物を渡し合うなど、簡単なやり取りから始められます。
言葉が少なくても、まねをしたり、顔を見合わせて笑ったりすることが関わりのきっかけになります。
親子でできる遊びについては、「2歳・3歳の言葉を増やす遊び7選|おうちでできる関わり方」も参考にしてみてください。
保育園・幼稚園での友達トラブルはどうする?
園でどんな様子だったかを具体的に聞く
「お友達とけんかをしました」と聞くと、心配になることもありますよね。
そんなときは、何がきっかけだったのか、子どもたちはどんな様子だったのか、先生がどのように対応したのかを確認してみましょう。
一度のトラブルだけで、その子の性格や友達関係を決めつける必要はありません。
家庭では落ち着いて話を聞く
帰宅後すぐに問い詰めると、子どもが気持ちを話しにくくなることがあります。
「嫌だったことがあったんだね」と受け止め、話したそうなときに耳を傾けてみましょう。
まだ出来事を順番に説明することが難しい子もいるため、子どもの話と園からの情報をあわせて考えることが大切です。
園と同じ方向で関わる
おもちゃの貸し借りや順番のルールは、園によっても異なります。
家庭での様子や子どもが安心できる声かけを共有しながら、園と一緒に対応を考えられると安心です。
環境の変化に不安を感じている場合は、「2歳児のイヤイヤ期はいつまで?癇癪の原因と家庭でできる対応」で紹介している、気持ちを受け止める関わりも参考になります。
お友達との関わりで相談したいときの目安
おもちゃの取り合いや一人遊びがあることだけで、発達の問題があるとは限りません。
ただし、本人が強く困っていたり、友達とのトラブルが続いて日常生活に影響していたりする場合は、周囲の大人に相談してもよいでしょう。
- 叩く、噛むなど、けがにつながる行動が繰り返される
- 友達とのトラブルが続き、本人が強くつらそうにしている
- 集団で過ごすことに強い不安がある
- 言葉でのやり取りや発達についても気になることがある
- 保護者や園だけでは対応が難しくなっている
園の先生、自治体の保健センターやこども家庭センター、かかりつけの小児科などに相談できます。
相談することは、子どもに問題があると決めることではありません。
子どもが過ごしやすい方法を一緒に考えるための選択肢です。
相談するときに整理しておくとよいこと
いつ、どんな遊びでトラブルになりやすいか、落ち着くまでにどんな関わりが役立ったかなどを簡単にまとめておくと、状況を共有しやすくなります。
園と家庭で様子が異なる場合は、その違いも大切な情報です。
3歳児のお友達との関わりについてよくある質問
A.3歳ごろは貸し借りや順番を少しずつ経験していく時期です。
「まだ使いたい」という気持ちを認めながら、終わったら貸すなどの方法を一緒に考えてみましょう。
貸せなかったことだけで叱る必要はありません。
A.欲しい気持ちを受け止めながら、取る行動は落ち着いて止めましょう。
「貸してって言おうか」と大人が言葉を手伝う方法もあります。
うまく言えないときは、短い言葉や指さしなど、その子に合った伝え方を探していきましょう。
A.一人遊びを好むこと自体が問題とは限りません。
本人が楽しく遊べているか、お友達への興味があるかなども見てみましょう。
困りごとが続く場合は、園や専門職に相談しても構いません。
A.まずは危険な行動を止め、相手の安全を確認しましょう。
気持ちが落ち着いてから、相手に起きたことや次にできる行動を伝えていきます。
言葉だけの謝罪を急がせず、相手を気遣う経験を重ねられるとよいですね。
まとめ|3歳のお友達との関わりは、少しずつ育っていく
3歳ごろは、お友達と関わる楽しさが広がる一方で、貸し借りや順番の難しさも経験する時期です。
「貸したくない」「使いたい」という自分の気持ちも、相手の気持ちも大切にしながら、少しずつやり取りを覚えていきます。
うまく言葉にできないときは、大人が間に入っても構いません。
一人遊びが好きな子も、無理に集団へ入れる必要はありません。
今の子どもの様子を見ながら、安心して遊べる関わり方を探していきましょう。
- 「貸したくない」「使いたい」の両方の気持ちを受け止める
- 順番や交代のタイミングを具体的に伝える
- 無理に仲良くさせず、安心できる遊びから関わりを広げる