ST-言語聴覚士- 摂食・嚥下障害

摂食・嚥下について詳しく解説!基礎的なことから知っていこう!

みなさん、「摂食・嚥下」って聞いたことありますか?

「摂食・嚥下」って言葉自体が難しそうで、私は初めに聞いた時に敬遠してしまいそうになりました。

ですが、「摂食・嚥下」って他人事ではなく、私たち自身が生活の中で毎日行っていることなんです。

 

そこで今回、以下のことをまとめてみました。

・「摂食・嚥下」ってどういう意味?

・「摂食・嚥下」のメカニズム

・液体と個体でどう違う?

 

摂食・嚥下」って何?

まず、「摂食」「嚥下」の意味からいきましょう。

「摂食」→「食べること」「食物をとること」

「嚥下」→「口の中にあるものを飲み下し、食道から胃へ送ること」

という意味です。


なので、この2つの意味を合わせると、

「摂食・嚥下」→「食物を認識し、口に取り入れて噛み、胃までおくること」

ということになります。

 

ところで、食べ物が口に入ってから胃や腸で消化・吸収され、便として出されるまでどれくらいかかるか知っていますか?

個人差もありますが、24〜72時間(1日〜3日)だそうです。

なので、摂食・嚥下にかかる時間はほんの短い時間だけとなります。

ですが、その短い時間の間にもたくさんの器官が使われ、感覚系・運動系・神経伝達系など一連の身体活動が関わることで、生命活動に欠かせないとても大切な活動になります。

 

摂食・嚥下のメカニズム

摂食・嚥下メカニズムの5期モデルというものを紹介します。

5期モデルは①先行期 ②準備期 口腔期 ④咽頭期 ⑤食道期 の5つに分かれます。

 

先行期(認知期):食物を口に入れるまでの段階。

視覚や嗅覚で目の前の食べ物を判断し、何を・どのように・どのくらいのペースで・どんな方法で食べるのか瞬時に決めます。

この段階では、認知機能、摂食動作(手や摂食道具使用による)、姿勢が影響します。

 

準備期(咀嚼期・口腔準備期):食べ物を口に取り込み、噛んで、食塊形成する段階。

何が口に入ったのか判断し、噛み砕いて唾液と混ぜることによって、飲み込みやすい1つの塊を作ります。

この段階では、口唇閉鎖、舌の運動(上下・左右・前後・回旋)、歯(義歯)と歯茎、頬や顎の運動が影響します。

唇で食べ物の固さや形、温度などは選別され、また咀嚼が必要なものかどうかも感知し、すぐに舌で奥歯に送られて噛み始めます。

※液体やペースト状のもの(ヨーグルトなど)は、噛み砕くプロセスは省略される為、すぐに咽頭に運ばれます。

 

口腔期:形成された食塊を口腔から咽頭へ運ぶ段階。

食塊にしたものを舌を使ってスムーズに咽頭に送ります。

ここでは、②準備期と同様に口唇閉鎖、また鼻咽腔(鼻へ通じる通路)が閉鎖します。

口唇と鼻咽腔が閉鎖しなければ呼吸と嚥下のタイミング合わず、嚥下反射が起きにくくなってしまいます。

※嚥下反射…よく「ごっくん」と擬音で表されるものになります。

この段階では、口唇閉鎖、舌の運動(特に舌先の運動)、頬の運動が影響します。

 

咽頭期:食塊が咽頭から食道に送られる段階。

喉頭蓋というものが下がって、食塊が気管(空気の通り道)に入るのを防ぎます。

嚥下運動は反射なので、自分の意思でコントロールすることはできません。

また、嚥下反射が起こっている時は呼吸が一時的に止まります。

食塊は0.5秒で咽頭から食道まで運ばれるので一瞬ですね。

この段階では、咽頭・喉頭・食道の入り口などの器官が影響します。

 

食道期:食塊が食道から胃へ送られる段階。

食塊が胃へ運ばれるのは、食塊のもつ圧力や重力、胃の蠕動運動によるものです。

この時、逆流防止として胃の入り口は閉鎖されます。

食道期も④咽頭期と同様、自分でコントロールすることはできません。

食物の特性によって変わりますが、食塊が食道を通過するのに、5〜10秒で、1秒で4㎝進むと言われています。

この段階では、食道入り口の開く力と時間、食道の蠕動運動が影響します。

 

液体と個体でどう違う?

上記で、摂食・嚥下の5期モデルについて説明しました。

ところで、⑤食道期で「食物の特性によって変わるが、食塊が食道を通過するのに5〜10秒かかる」とありましたね。

では、液体の物と固形物ではどのくらい違うのか気になりますよね。

固形物→8秒

液体→3秒

となり、液体の方が早いことがわかります。


なので、口腔から咽頭へ送られるのも、固形物より液体の方が早いため、ムセや誤嚥の原因にもなります。

※誤嚥…飲食物が気管に入ること。

 

まとめ

ということで、今回は以下のことがわかりましたね。

・摂食・嚥下とは、「食物を認識し、口に取り入れて噛み、胃までおくること」

・摂食・嚥下の5期モデル

先行期 ②準備期 ③口腔期 ④咽頭期 食道期

・食道を通過するのに、液体3秒、固形物8秒かかる。

 

食塊形成の段階について調べたのですが、教科書や他のサイトでは②準備期と③口腔期のいずれもあり、バラバラでした。

今回私がまとめた内容では②準備期としましたが、②準備期は「食塊形成の動作」、③「口腔期」は「食塊を形成する」としても正解だと思われます。

もし、このサイトを見ている方がSTや医療系の学生さんであれば、学校の先生に聞いてみるのもいいかもしれません。

 

摂食・嚥下は、私たちの生命活動にとても大切でありながら、食べるということを通して幸せを感じることができるものだと思います。

次の食事の時に、今回の内容を思い出しながら食べてみるのもいいかもしれませんね。

以上、摂食・嚥下とは何かについてお送りしました。

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