ST-言語聴覚士- 失語症

失語症って知っていますか?失語症の症状や原因についてわかりやすく解説!

突然ですが、皆さんは「失語症」ってご存知ですか?

最近、医療系のテレビ番組でたまに目にすることがあるのではないでしょうか。

「失語って聞いたことはあるけど、どんな症状かわからない…」という方が多いかもしれません。

 

そこで今回は以下の3つについてまとめてみました。

・失語症って何?

・失語症の原因は?

・失語症の症状は? 

 

失語症って何?

皆さんは、家族や友人、職場の人たちとどのようにコミュニケーションをとりますか?

相手の話を聞いたり、話したりしますね。

また、人が書いた本やSNSの投稿を読んだり、コメントを書いたりしますよね。


まとめると、私たちは相手の話を聞いたり話したり、文字を書いたり読んだりして他の人と意思疎通を図ります。


そして、失語症とはこの「聞く」「話す」「書く」「読む」の言語能力に障害が起き、周りの人たちとコミュニケーションがとれなくなることです。

私たちは普段何気なく使っている言葉であり、またその理解する力も障害されます。

よく例えで「外国に放り出された状態」と言われます。

そう考えると、周りは何か話しているのに、自分は何も話せないし、何を話しているのか全くわからないという状況はとても怖いですね。

 

失語症の原因は

失語症は大まかに4つによって起こります。

脳卒中…脳梗塞、脳出血、くも膜下出血

脳外傷…転倒や交通事故により頭部をぶつける

・認知症

・その他…脳腫瘍など

 

失語症は、脳の言葉を司る部分である言語中枢が損傷されることによって起こります。

主に脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)が失語症の原因の90%を占めると言われています。

 

失語症の症状は?

先程、失語症について「外国に放り出された状態」と書きましたね。

簡単に説明すると、

「聞く」 何か話しているとわかるけれど、内容がわからない。
「話す」 言いたいことが言えない。
「読む」 書いてあることはわかるけれど、声に出して読めない。
「書く」 書きたいことが書けない。

と、いうことになります。


失語症の症状は様々ですが、今回は「話す」「聞く」の2つの面について説明したいと思います。

【話す】

まず、「話す」面は、言葉を出す(表出)ということになります。

日常会話は可能ですが複雑な内容な難しいレベル~全く話せないレベルなど様々です。

1.喚語困難…頭にイメージはあるけれど適切な言葉が思い出せない。

※「喚」は呼び出すという意味になり、言葉を出せない状態です。


2.発語失行(アナルトリー)…言葉の発音が乱れる。

 毎回同じ間違いではなく、話すたびに変わります。

例:「りんご」→「じんご」


3.錯語:頭に浮かんでいるものとは別のものを言ってしまう。

 音韻性錯語  例:「時計」→「とけん」

 語性錯語   例:「猫」→「犬」など



【聞く】

次に、「聞く」面は、言葉を理解するということになります。 

話す面と同様、日常会話はできるけれど内容が複雑だと難しい場合~全く理解できないレベルまで程度は様々となります。

1.理解障害…話されたことが理解できない。

 聴覚に問題がないにもかかわらず、相手の言ったことが分かりません。

 

2.言語性短期記憶障害…耳から入った言葉を一時的に保持し、記憶できない。

 言葉を使って会話するには、相手の言葉を一時的に保持して記憶しておかなければ会話は成立しません。

 

その他にも、読み書きの面の障害や計算能力の低下も失語症の症状に含まれます。

まとめ

失語症とは、「聞く」「話す」「書く」「読む」の言語能力に障害が起き、周りの人たちとコミュニケーションがとれなくなること

・失語症の原因の90%は、脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)によるもの。

・失語症の症状は、日常会話はできるけれど内容が複雑だと難しい場合~全く理解できないレベルまで程度は様々となる。

 話す面の障害→喚語困難、発語失行、錯語など

 聞く面の障害→理解障害、言語性短期記憶障害など

 

今回は失語症について大まかですが紹介しました。

失語症と聞くとあまり話せない人と想像してしまいがちですが、簡単な日常会話なら可能という方もたくさんいます。

また、話せないから物事の判断力が下がっている、というわけではありません。

理解できないから簡単な言葉を使うなど、子供に接するような言葉遣いは決してしてはならないことです。

今回の内容を踏まえて、相手への気配りを大切にコミュニケーションを楽しんでいただけたらと思います。

以上、失語症についてお送りしました。

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